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【広報取材】JA自らが生産する堆肥に熱視線
JA営農センターが生産する牛ふん堆肥が組合員に好評です。県内でも珍しい、JA自ら生産する堆肥が、高品質で大量の堆肥を必要とする組合員にとって、土作りに欠かせない事業に成長しています。
同センターの敷地内にある堆肥生産設備は1992年に設立。堆肥を発酵・完熟させる堆肥舎は198㎡、牛糞を乾燥させて堆肥化する施設の堆肥乾燥施設が604㎡の広さを誇ります。
営農センター職員によると、ホームセンターで取り扱う牛糞堆肥は、一般的に製造期間(発酵時間)を短縮するため、水分調整剤として木くずが混ぜる事が多いといいます。一方、営農センターが作る堆肥は、管内酪農家が処理しきれなくなった牛ふんを活用し、乳牛の床材として使われていた藁(わら)のみを材料とするのが特徴。循環型農業の実践にもつながっています。
堆肥作りには、病原菌と雑草の種が死滅する堆肥の温度管理が重要で、微生物の活動が活発化する65度を保つよう注意しています。また、発酵に欠かせない酸素の供給と、発酵を促進させる「切り返し」を10日ごとに10回行います。これに乾燥期間2、3週間を加えると販売まで約4カ月かかるため、需要が高まる夏・冬に向けて数カ月先の予約状況を確認しながら堆肥の生産予定を組んでいます。
2023年度は、48t弱を生産。一番多い年には、75tほど生産した年もあります。堆肥は軽トラック1台分(1台=350㌔)ごとに販売し、価格は1台3850円。組合員による自己取りが基本で、JA職員に配送を頼む場合は別途手数料が必要です。
緑区で施設トマト・キュウリを中心に営む小俣園芸の小俣章洋さんは「JAが生産した堆肥を投入すると、野菜の味が濃厚でうま味があり、消費者からも好評」と、その効果を実感しています。
営農経済部営農支援課の小林雅樹主任は「管内で出た牛ふんを活用するためSDGsにも貢献しています。市内循環型農業の一つの形につながるのでは。安全安心な堆肥作りを通じて高品質な市内農産物の生産に寄与していければ」と話しています。