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【広報取材】伐採樹木を宝に 薪販売ヒット

薪割り機を操作する井上農園の社員

 南区下溝で造園業などを営む㈱井上農園では、街路樹の伐採などで発生した丸太を再利用してバーベキューやキャンプで使う薪を生産し、JA農産物直売所「ベジたべーな」で販売しています。同直売所ではこれまで、ありそうでなかった商品が店頭に並び、来店者の注目が集まっています。

 同社ではこれまで、業務で発生した丸太や枝木を後日処分するため会社敷地内で保管。ある程度の大きさまで裁断してから処分していました。

 新型コロナウイルス禍では人との接触を避けられるレジャーとしてキャンプが流行し、薪ストーブのブームもあったことから、近所の住民から「丸太を譲ってほしい」「薪にしたらどうか」という提案もあり、2022年4月から試験販売を始めました。

 材料の丸太は伐採後1年程度乾燥させたものを使用。最近はサクラやナラなどが多く、どちらも広葉樹で、燃やした際に火持ちが良いのが特徴です。丸太は30~40㎝ほどの長さに切り揃え、エンジン式の薪割り機で加圧して割ります。割り終えた薪は針金で束ねて商品化するのが一般的ですが、束ねるのに手間がかかるため、植物苗のポットが入っていたプラスチック製トレーを再利用。トレーに薪を一定量盛り、こぼれ落ちないようトレーごとビニール紐できつく縛っています。このおかげで、購入者は薪を持った際に手の切り傷や衣服の汚れを抑えることができるようになりました。

 行楽地やホームセンターの薪と比べて同社の薪は量も多く、一束税込500円(1月23日時点)と、手に取りやすい価格に設定。同直売所付近では薪を販売している店舗が少ないこともあり、金曜日に商品を並べると週末には完売になるほどです。現在は薪の発展型として、丸太を垂直に立てた幹に十字の切り込みを入れて燃やす「スウェーデントーチ」も作っています。

 同社の井上由之代表は「以前から丸太をそのまま処分するのは忍びないと思っていた。薪に加工することで消費者ニーズに応えるとともに資源の有効活用にもつながり、うれしく思う」と話しています。