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【広報取材】手作りが自慢の子ども食堂
新磯地区の組合員である久保田有輝子さんは、2017年7月から自宅で月2回、子ども食堂「新磯みんなの食堂“さくら”」を開いています。積極的な食材提供やボランティアの申し出など、地域を巻き込みながら成長を続け、市民を支える存在に成長しています。
久保田さんは平塚市出身で、同地区の兼業農家に嫁ぎ57年。子育ての傍らPTAの役職に従事し、帰りが遅い母親を支援する市の事業に登録。母親の代わりに保育園の迎えを代行するなど、働く女性を長く支えてきました。その後、JA女性会新磯支部で支部長を務め、フラダンスや園芸サークルなどを立ち上げてきました。
子ども食堂の存在は、久保田さんがJA女性組織の全国大会に出席した時に、他地区の取組事例で知りました。その活動に感銘し「自分も始めたい」と考え、地元の公民館長や市社会福祉協議会にも相談するなど、開業に向けて準備を進めていきました。
会場は自宅敷地内で以前、両親が住んでいた空き家を活用。建物を取り壊さず、皿や椀なども処分していなかったため、多くの子どもを呼べる環境が整っていました。加えて、近所から不要な什器や調理器具も譲り受けました。
子ども食堂は、中学生以下の子どもを抱える家庭をメインに、後期高齢者も対象に展開。シングルマザーや一人暮らしの高齢者を優先して受け入れています。新規申し込み時には、不正利用がないよう家族構成も確認します。
食材は、久保田さんが畑で作る野菜や市内フードバンク、近所の知人からの寄付など。食材費や光熱費は当初「毎月いくらかは持ち出しでも構わない」と考えていました。しかし、多数の食材提供もあり、利用者から徴収する1食200円と社協からの助成金などで賄い、金銭的な負担感は少ないそうです。
メニューは当初、集まった食材でその都度考えていましたが、現在は定期的な食材提供のおかげで計画的に立てられるといいます。前日から仕込み作業し、当日は朝から煮物・炒め物を調理。日にもよりますが、久保田さんの活動に感銘を受けた10人程度の同支部会員やボランティアも協力しています。掃除や片付け作業にも地域住民が手伝います。こうした支援もあり、開業時の約60食から現在は140食程度まで増えました。コロナ禍の影響により子ども食堂も自粛が続き、2020年6月から弁当のテイクアウトへ変更し、現在も続いています。
利用者からは「子ども食堂はインスタント食材が多くなりがちだが、農家ならではの手作りの味が体に優しくて、本当にうれしい」などと感謝の声が絶えません。
久保田さんは「多くの人に支えられているから活動を続けられているので、皆さんに感謝したいです。利用者の笑顔が活動の励みになっています。まずは自分の健康に注意しながら子ども食堂を長く続けていきたい」と意気込んでいます。